お酒に関する業務(その2・業際問題)
以前このブログ内で、酒税法第二章の免許に関する規定が税理士業務の範囲外で、行政書士の業務の範疇であることを記載した。
このことに関して、酒類免許を取扱う多くの行政書士もそのように言っている。
しかし、このことには多くの誤解を生む表現や、行政書士の方々が税理士法違反となる要素が含まれている。
以下に記載する事項は、いわゆる「業際問題」となりうる内容であるが、敢えて記載したい。
〇 行政書士の業務
改めて行政書士の業務を確認する。
行政書士法第1条の2第1項 行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類、その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成することを業とする。
同法第一条の三第2項 行政書士は、前条に規定する業務のほか、他人の依頼を受け報酬を得て、次に掲げる事務を業とすることができる。
同第4号 前条の規定により行政書士が作成することができる書類の作成について相談に応ずること。
これらの規定から、法令上、行政書士は他人からの依頼により、書類の作成と作成に関する相談を受けることはできることは明確となる。
〇 税理士業の業務
次に、租税に関する事務を業とするのが税理士であり、税理士法では、税務代理・税務書類作成・税務相談と三つの事務が業務として規定されている。
酒類免許に関しては、以前記載したとおり、税理士の業務から除外されているが、改めて条文の記載を確認すると、業務の範囲として「酒税法(昭和二十八年法律第六号)第二章の規定に係る申告、申請及び審査請求を除くものとする。」と規定されている。これにより、税理士は酒類免許の事務ができないとされている。
しかし、この規定で確認することは、税理士業務からの除外は「申告、申請及び審査請求」と限定されていることであり、これらを示す規定は、酒税法に関する政令及び省令の規定であるということである。
〇 酒類免許要件の適用判断
酒類免許を取得されたい方には、それぞれに事情があり一律に同じ条件ではない。行いたい事業内容や、申請者の経歴などがそれぞれに違ってくる。
国税庁の法令解釈通達や免許の手引きなどで例示されている事項に基づき、判断することに関して行政書士がアドバイスや判断することに異論はない。
しかし、「税務署が許可できないといった案件を、当事務所が請負い免許に至りました。」的な謳い文句を掲げている行政書士様などがあるが、法令上の判断をアドバイスしている場合には、間違いなくアウト案件となる。
〇 業際問題が表面化しない理由
1 酒税をメイン業務とした税理士が僅少
税理士で酒税を主たる業務としている方を知らない。酒税専門と謳っている方は2名存じ上げるが、お二方とも国税庁OBであり、酒税とはいっても免許関係をメインとしているようにうかがえる。
2 税務署の対応
酒類免許の申請を受け付ける税務署が、専門士業の業務範囲に無頓着。
税務署窓口の場合、書類提出者の氏名等は記載させるが、身分証の提示を求めていない。(税務署の文書収受の責任者は総務課にあり、総務課では、税務関係書類の提出時の資格証等の提示を求めることを関係職員に指示しているというが、実務担当は管理運営部門という総務課とは異なるセクションであり、また窓口業務は非常勤職員が行うことが多く、法務局のような対応を徹底してない。)
なお、審査担当である酒類指導官においては、代理人に対してはいしては厳格な対応を行っていることは記載したい。平成一桁年代の免許ブローカーがはびこっていた時代とは、隔世の感がある。
行政書士が、審査に対する対応まで委任されていない場合には、気付きようがない。
〇 結論
行政書士は、良いも悪くも「資格を持った代書屋」であり、酒類免許に関しては、申請書類の作成と作成に関しての相談に止まる。免許取得を目指す方の個別具体的な法律の判断を求められる案件は、税理士の資格を必要とすると結論付け、酒税法第二章の規定の全てが税理士業務から除外されるわけではない(行政書士の業務の範囲でもない)ことを記しておく。
〇 参考
ちなみに、酒類免許取得後、販売数量の報告、異動届、蔵置所の設置届、製造免許者には蔵置場の設置許可申請など、税務署への報告義務や申請等があるが、これらは全て税理士業務であり、行政書士はできないので、依頼先に要注意。
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