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「ジャパニーズウイスキーのブランドを損なう「酒税法」の問題」の記事について

【問題点とは】

 2020年11月1日付幻冬舎GOLD ONLINEの記事では、ウイスキー文化研究所代表でウイスキー評論家の土屋守氏の話として、昨今、海外での評価が高まっている日本で製造されたウイスキーについて、その問題点は「酒税法の規定にある」と伝えています。

 記事の内容が、土屋氏が書かれた『ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー』(祥伝社)の中の記述の引用なのかは、失礼ながら当方拝読しておりませんので不明ですが、酒税法の規定に問題があり、ジャパニーズウイスキーとしてブランドが危ういとの提言をされております。

 翌日の朝日新聞DIGITALでも同様の記事と思われる(有料版なので読んでません)掲載があるようです。


【問題は酒税法なのか】

 私も「ジャパニーズウイスキー」の定義が明文化されていないことに危惧をしており、記事に同意する部分もありますが、それが「酒税法」に起因するとは思えません。

 なぜなら、酒税法は税金を課すための法律だからです。

 清酒も、果実酒も表示基準は存在しますが、酒税法の規定ではなく、国税庁の告示です。

 「そんなこと言われなくてもわかっている」と言われそうで、かつ、「国税庁の告示は酒税の保全及び酒類業組合に関する法律に基づく告示で、酒税の保全及び酒類業組合に関する法律は酒税法の補完法だから、酒税法と一緒だ」とも指摘されそうです。


【メーカーの反応は】 

 お酒の製造に関することは国税庁が所管官庁です。彼らは縄張り意識が強い組織です。

 一昨年の日本ワインの表示基準のときにも国税庁は業界の意見を聞き、業界との調整を図りながら基準を決めたと想像できます。なぜなら、日本ワイナリー協会では、そもそも果実酒の表示に関して自主基準を制定していました。その規定の内容と表示基準が重複するものは変更したともホームページに記載していますので、当然に業界を所管する国税庁が、日本ワイナリー協会と調整を図ったであろうことは容易に想像できるからです。

 ウイスキーに関する業界団体は、日本洋酒酒造組合です。ホームページを確認すると、しれっと「ジャパニーズウイスキー」の表記があります。

 2017年の日本食料新聞の記事では、同組合内に検討委員会を設置し2020年の東京五輪をターゲットに検討を進めると報じています。

 しかしならが、現状は何も聞こえてきません。やる気があるのかないのかもわかりません。


【問題点のすり替え】

 ウイスキーの原料は麦やトウモロコシです。ビールもそうですが、どこから調達しているのでしょうか。

 日本ワインを規定に至る要因の一つに輸入濃縮果汁の問題があったと記憶しています。

 また、業界の方々への取材もされていないようです。

 問題はそこじゃない気がします。


 「ジャパニーズウイスキー」ブランド確立のため、メディアの方々の頑張りに期待したいと思います。

 

 
 
 

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